鉄フライパンが欲しい日々

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日々思ったことを綴っていきます

【村上春樹】雨天炎天を読んで海外旅行

はじめに

最近はコロナの影響でろくに旅行に行けないですよね。

僕も夏には海外旅行に行こうとしていましたが、見事におしゃかに・・・

 

そこで、旅行記Google Earth で旅行に行った気分になるのでは?と思い、早速Kindle旅行記をディグってみました。

 

せっかくなら、絶対行かない所のやつにしようと思い選んだのが村上春樹『雨天炎天』です。

 春樹作品はもとから好きなのですが、そういえばエッセイはあまり読まないってなったので、読んでみました。

 

行き先は

  1. ギリシャ アトス島(ギリシャ正教の聖地)
  2. トルコ各地

の2つ。

 

絶対行かなくない?候補に挙がらなくない?ってなりますよね。

以下内容をざっくり解説していきます。

 

 

 

 雨天炎天とは?

1990年8月に新潮社から出版された紀行文、いわゆるロードエッセイです。

主に

  1. ギリシャ アトス島
  2. トルコ各地

 

地図で見るとこの辺

①アトス

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②トルコ(ヴァン湖周辺)

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当時の日記などを手に、淡々と各地の食事、風景、見たもの、ホテルなどが記されています。

これ読むと、やっぱ旅行記とか写真って残しておくといいな〜と思う

 

ではアトスから見ていきます。

 

アトスへ

旅は1988年、小さなリゾート・タウン ウラノポリから始まります。そこからダフニという土地まで2時間の船旅です。

早速船に乗り遅れるところも旅行っぽくていい

 

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アトスとは?

アトス?ってなりますよね。

アトスとは・・・

  1. ギリシャ正教の聖地
  2. 20の修道院 2000人の修道僧
  3. 自給自足の生活
  4. 女人禁制(動物も!)
  5. 日本人は2泊3日しか滞在できない(異教徒だから)
  6. 自然MAX(観光等の手がつけられない+交通機関なし)

やばくないですか?行ってみたい!!ってなりません?

本作では、上記の4について、犬に出会うシーンがあるのですが、全部去勢されていたそうです・・・

 

ダフニからカリエへ

で、ダフニから首都カリエに。バスで向かいます。

ラーソという正装を着た修道僧ばかりだったそうです。(ラーソは自分で検索してみて下さい)

 

カリエの街で滞在許可証をもらいます。

アトスでの聖地巡礼

  1. 修道院でしか宿泊できない(そもそもホテルとかない)
  2. 狼とかいるから野宿は無理
  3. 3000円で巡礼できる(食事は出てくる)

特に修道院ごとの特色があってそこらへんも見どころ。

四国の巡礼とはレベルがちがうくらいバードな旅

 

スタヴロニキタ修道院

アトスで最も小さい修道院

修道院に着くと

が必ず出るそうです。

ウゾーってこれ

ルクミはこれ

 

これらはこの後の修道院でも必ず出てきます。春樹は甘い物が苦手なので、最初は嫌がっていたのですが、後半行程が厳しくなってくると「めちゃめちゃうまい」って言い出してウケます。

 

ルクミ見て、昔あったギモーヴってお菓子思い出した。

 

カラカル修道院

アトスでは礼拝が夜の12時に始まる。

「十二時にお祈りを始めるわけですか?」

「そう。夜中の十二時は、我々にとってはあなたがたの時間でいえば、朝の四時にあたるのです」

「ビザンティン・タイム」っていう時間が採用されているようです。

このお祈りは4時間続くそうです・・・

このお祈りの様子も想像を超えてくるので、ぜひ本文を読んでみてほしい

 

カフソカリヴィアのスキテへ

アトスの山奥には20個の修道院の他に、小さい出張所みたいな修道院がたくさんあります。

で、この出張所は大きい順に

  • スキテ
  • ケリヨン
  • カリヴェ
  • カティスマ
  • へシスハテリオン

となっていて、世捨て人みたいなダイハードな修行僧ばかりいるようです。

 

このスキテでの食事がヤバすぎて印象的

  • 激硬パン(カビだらけ・水道水につけてふやけさせる)
  • 冷めた豆のスープ(酢を入れまくる)
  • しょっぱすぎるフェダ・チーズ

そこに住んでいる猫も同じものを食べてたそうです。

 

でも猫は美味しそうに食べている。このカフソカリヴィアの猫はキャットフードの存在も知らない。でも「幸せ」なんだ。

 

みたいな文章が心に残りました。

 

ダフニへ帰還

カフソカリヴィアを後にし、山道を歩いていると出会う僧との会話が印象的。僧は乞食なのか野猿なのかわからない見た目だった。

「今度来るときは、心を入れ替えてちゃんと正教に改宗しておいでなさい」と真面目に忠告した。

この地にいる人達の世界はギリシャ正教で完結していて、そこに絶対の自信を持っている。

世の中に絶対はないとよく聞くけど、その「絶対」を求めるのがいわゆる宗教ってやつなのかな~とも思う。

で、このアトスの人たちはその「絶対」の深奥をただひたすらに目指している。

それ以外は彼らにとって些末な問題で、だから「幸せ」なのかも

 

結局、船に間に合わず、滞在期間オーバーw

法外な金額を払って船をチャーターし、無理やり帰っているところがさすがです。

 

で、ウラノポリでビールを飲んだらブラックアウトするくらいうまかったで終わります。

 

僕も腹が減りまくった後に焼き肉食べたら、ブラックアウトしたことあります。

 

終わりに

長すぎてトルコまで書けませんでした。

 

このアトスって土地は成り立ちからしてやっぱり惹かれます。

特に終盤で出てくる野猿みたいな僧との会話。

春樹も以下のように述べています。

でも彼の言葉には不思議な説得力があった。たぶんそれは宗教云々というよりは、人の生き方の確信の問題なんだろうと思う。

確信ということで言うなら、世界中探してもアトスくらい濃密な確信に満ちた土地はちょっと他にないのではないかという気がする。

彼らにとっては、それは疑いのない確信に満ちたリアル・ワールドなのだ。

 

 我々が普段生きているこの世界はリアル・ワールドのなのか。確信をもって生きているのか、考えさせられる。

 

今回紹介した部分以外にも様々な修道院が出てくるので、この記事でアトスに興味を持った人はぜひ、Google Earth開きながら読んでみて下さい。

 

 

雨天炎天

雨天炎天