「Which課題型」の国語授業づくり 書評
はじめに
前回、国語の授業について思う所を書いていきました。
過去記事は以下です。
今回は本題の「こんな実践がよかった」的なのをやっていきます。
まあ2年目の人がなんか言ってるわくらいで見てください。
で、アドバイスください。
「Which型課題」とは
詳しくは下の方で紹介する書籍をご覧ください。
簡単に言うと、授業内で
「Aか?Bか?」「1、2、3の内、どれが1番〇〇か?」
のように子供に問いかけ、選択・判断する機会を意図的に設定するというものです。
このクイズみたいな問い掛けであれば、子供達全員が参加することができ、1度考えを聞けてしまえば「どうしてそう思ったの?」とか「理由教えて?」と問い返せる。
まあ、ざっくり言うと「会話の糸口」にできるって感覚です。
本の方には
- What型のめあて(「〇〇の気持ちを考えよう」など)
- How型のめあて(「心情曲線で表そう」など)
- Why型のめあて(「なぜ〇〇したのか考えよう」など)
といった指導書等でありがちなめあての設定のデメリットも記されています。
詳しくは長くなるので割愛しますが、まあ上記のめあてって抽象度が高いから最後ふわふわしがちじゃありませんか?(僕だけ?)
「Which型課題」は、もちろんクイズして終わりってわけじゃなくて、「読むこと」に迫るしっかりとした流れがあります。
- 問題意識の醸成
- Which型課題の設定
- 考えの揺さぶり
- 学習のまとめ(答え・整理・発展)
一つずつまとめていきます。
問題意識の醸成
ここでは、音読や感想、軽い意見交換みたいなことをします。
子供が「あれ?」って思ったり、「なんで?」って思わせる。
次の課題設定へのフラグ作りです。
Which型課題の設定
問題意識を引き出した後にもってきます。
「A、Bどっちだと思う?」「1番〇〇なのは?」と問いかけて、挙手orネームプレートを貼らせます。
「同じ考えの人が何人かいる」ってだけで途端に発言できるようになる子もいます。
普段手を挙げない子にも聞いてみると意外に出てくる。
考えのゆさぶり
ある程度意見が出たら、それらを整理して、「発問」します。
場合によっては子供の発言からも出てくるので、臨機応変に拾って繋げます。
あえて教師が少ない方の意見に立ってみたり、否定的に言ってみたり、全体の議論を俯瞰した発言をするといいのでは?と思います。
学習のまとめ
課題に対するまとめ、及び次時の課題になりそうなものをまとめます。
僕は学年の始めの方で「納得解」について解説してあるので、なんとなくそこを目指していこうみたいにしています。
三つの読み方
この本には、「「Which型課題」づくりの理論と方法」として「三つの読み方」が示されています。
僕的には、この考え方がすごくしっくりきて、ストンと落ちました。
その三つとは
- 確認読み
- 解釈読み
- 評価読み
「確認読み」は「登場人物は?」「問いの文は?」「筆者が1番伝えたい内容は?」など、みんなの読みが揃ってくる読みです。
「解釈読み」は「心情の変化は?」「この作品が伝えたいことは?」「なぜ事例はこの順番なのか?」など、人によって少し差が出てくる読みです。
「評価読み」は、「この物語は面白い/面白くない」「説明がわかりやすい/わかりにくい」など、誰でもできることが特徴です。
で、この「評価読み」は誰でもできるんだけど、一人一人の読む力が反映される。
同じ「面白い」でも、理由として「会話文が面白い」「構造が面白い」「主人公の行動が面白い」など読み取りの程度によって差が出る。
つまり「評価読み」は「確認読み」「解釈読み」がベースになってる。
本には他に、「揺さぶりの発問」について詳しく先行研究とかも交えた解説が載っています。おもしろいので一読の価値があります。
実践例
3年生の国語の教材で少し例を挙げてみます。
「ちいちゃんのかげおくり」
前時の活動として、一言感想(〇〇な話)を全員分まとめたものを配布しました。
「悲しい話」「温かい話」「悲しくて温かい話」
感想は大きくこの3つに分類されました。
で、本時の発問が
・ちいちゃんが1番「悲しかった」のはどの場面?
大きく5つの場面に分けて子供に挙手させました。(場合によってはネームプレート等を貼らせてもいいかも)
もちろんそう思った理由も添えさせて
そうすると理由として
- 戦争になったから
- 家族とはぐれたから
- ひとりぼっちだから
- 死んでしまったから
などなど出てきます。
このとき、本文の叙述から根拠を出せると良いです。(ここら辺はそれまでの土台作りによる)
揺さぶりとしては
「みんな前回の感想で「悲しい話」って人が多かったよね。今回のそれぞれの「悲しさ」を見てどう思う?」
C「それぞれ違う気がする…」
ってなって「〇〇な悲しさ」をそれぞれの場面に名付けました。
「感想が違う」→「悲しいと思った理由も違う」→「悲しさの種類が違う」
となり、ただ「感想の共有」で終わらず、深めることができたのではないか?と我ながら思います。
この実践は、Twitterで沼田拓弥先生(@numataku2525)が紹介していたものをベースにしました。
まとめ
今回の記事で「Which型課題」に興味をもった方がいましたら、是非書籍をお買い求めください。
また、ネット上にも様々な実践が載っていますので、参考に。
今年やってみて、何よりも子供の分析力が高まったと感じています。
また、最初の選択の際、「悩む」を選ぶ子が増えました。理由を聞くと、それぞれの立場を深く読んでいたり、二項対立でないことに気づいていたり、と「読む力」がついています。
「こんなやり方もあるよ」とか「これはどう?」みたいな意見、大歓迎ですのでいつでも。
うーん、国語専科になりたい…