鉄フライパンが欲しい日々

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『たった一つを変えるだけ クラスも教師も自立する「質問づくり」』レビュー

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はじめに

「子供が自ら課題意識をもってほしい」

「主体的に学習課題に向かってほしい」

というのは、教師にとって誰もが抱いている願望でしょう。

 

僕自身は個人的に、教師から「はい!今日はこれについて考えてくよー!」っていう授業が苦手すぎるので、上記のことをずーっと思っていました。

 

今回紹介する『たった一つを変えるだけ クラスも教師も自立する「質問づくり」』という本は、これらの悩みへの一つの解として非常に良い本でした。

 

海外の本の翻訳本あるあるだと思うのですが、結論を何度も繰り返しているので、見た目の分厚さほど中身は濃くはないです。

今回はこの本のエッセンスを少し紹介し、僕なりに実践してみた感想を書いていきたいと思います。

 

 

 

質問づくりとは?

タイトルからも分かるように「質問づくり」に焦点を当てた内容になっております。

この本で言う「質問づくり」のプロセスとは

 

  1. 質問をたくさん出す
  2. 質問を改善する
  3. 質問に優先順位をつける
  4. 振り返り

です。

 

それぞれかんたんに解説しつつ、僕の考えを書いていきます。

 

質問をたくさん出す

この「質問をたくさん出す」にも段階があります。

  1. 質問の焦点を知る
  2. 質問を出す

 

「質問の焦点を知る」とは、慣れ親しんだ言い方をすると「発問」となります。

ただ、従来の「発問」とは違う点があります。

「〇〇はなぜですか?」「〇〇したのはどうしてでしょう?」「1番〇〇なのはどれ?」「わかりやすい〇〇をみつけましょう」など、こちらから質問、依頼は絶対にしないという点です。

代わりに「三角形の違い」や「水の流れ」「豆太の成長」など、ワードのみを示す。

ここから連想する質問を出し続けるといった流れです。

 

なので、教師としては教材の導入から、その教材を学ぶことでつけてほしい力を意識してこの「質問の焦点」を決める必要があります。

その焦点からどのような質問が出得るのか、その質問を追究していくことで、どのような成長が期待できそうか、などを単元に入る前に考え抜くことが大切だと思いました。

 

この考え方って別に質問づくりに関係なく、普段の教材研究に共通していますよね。

最終的な子供の姿を意識する、つまりゴールを明確に意識することで、その経過の許容度って上がってくると思います。

 

2つ目の「質問を出す」ですが、一口に「質問を出す」って言っても、そんなにかんたんには出てこないというのが現実ですよね。

その点については、ルール作りという形で対策が載っています。これを全部紹介するのは大変なのでぜひ本を読んでください。

 

質問を改善する

「質問を改善する」とは、かんたんに言うと

クローズド・クエスチョン↔オープン・クエスチョン の変換です。

この変換を今までで出てきたすべての質問に対して行います。

 

「せっかく出た質問の形を変えちゃうの?」と思いますが、この活動をすることで、質問の質について考える力が付きますし、閉じた質問と開いた質問への理解を深めることにも繋がります。

また、より「質問の焦点」に近づくためには、どちらのアプローチが適切なのか精査する場面にもなります。

 

この変換作業ですが、まだ僕自身の学級では行っていません。ただ、質問の種類については、子供から出された多くの質問を例にとって解説しました。

単純に「閉じた質問より開いた質問の方が優れている」わけではなく、どちらにもメリットがあることが理解できたようでした。

 

質問に優先順位をつける

ここでは、出された質問の中で、どれを全体で扱っていくのかを考えます。

優先順位をつけるには、それなりの理由が自然と出てきます。

自分の考えに根拠をもたせる力が意識せずともつきます。

また、集団での学びに不可欠である「合意形成」についてもここでは学べます。

 

この活動については、似たような活動を本書を読む前から実践していました。

例えば単元導入時に「学習計画」を子供と作ったことがあります。学びの過程を分解し、示す。そしてその優先順位を考えることで、「自分たちで決めた学びの過程」になる。

例えば詩を書く単元では

  • お手本となる詩を読む
  • よい詩の手法を学ぶ
  • テーマを決める
  • 詩を書く
  • 友達と読み合う
  • 改善する
  • 詩の発表会

をランダムに示し、どのような順番で行うかを考えました。

自ずと「こうなるためにはこれが必要だ」という思考に子供が至るので、ぜひやってみてください。

 

振り返り

ここについては特筆することはないかと。

その活動を通してどのような力がついたのか。活動前と比べての自分の変化などを言語化させます。

この本ではこの「メタ認知」を異様に押してました。

 

おわりに

結構文量のある本なので、かなりかんたんにまとめました。実際の本には実践例や各プロセスの細かいテクニックが、ものすごく丁寧に書かれています。

 

実際に小学校の現場で実践してみましたが、子供たちは「自分たちで学んでいる」という感覚を味わえたようで、年度末にその一年の学びを振り返ったときには、その単元の感想が多く挙げられました。

実施単元など詳しく知りたい方は連絡ください。

 

また、この「質問づくり」について、専門的な書籍や論文を読まずになんとなくで実践している人も数多くいる印象です。

この書籍を読んでから、「子供主体の学び」が成立している授業を参観させてもらうと、しっかりエッセンスを取り入れていることが分かるようになりました。

 

自分が授業を行う際のポイントや、授業がうまい人は何がちがうのかについての視点も得ることができました。

 

「質問づくり」

気になった方はぜひ一読ください。